開業届(法人設立の場合)

法人設立について下記手順で進めていきましょう。

  1. 会社の基本情報を決定する
  2. 会社用の印鑑を購入する
  3. 役所へ届け出をする
  4. 銀行口座を開設する
  5. 資本金を準備する
  6. 定款を作成する
  7. (株式会社の場合)定款の認証を受ける
  8. 資本金の払込み
  9. 法務局で登記申請をする
  10. 登記申請後に法務局で確認、手続きをする
  11. 事業開始前に必要な手続きをする

①基本事項の決定

会社を設立するために、まずは基本事項を決めましょう。
・会社概要(会社名など)
・役員報酬や資本金の金額設定

会社名について

会社名は原則自由に決められるため、希望の会社名で構いません。ただし、同一住所に同じ会社名をつけることはできません。したがって、本社を構える住所に類似の会社名が無いかを、管轄の法務局で事前にご確認ください。また、銀行ではないにも関わらず会社名に「銀行」と付けたり、有名企業の名前を使うと不正競争防止法に反することになります。
このように、会社名は自由に決められるものの、いくつかの制約があることを覚えておきましょう。

会社形態

現在日本で設立できる会社形態は
「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4つです。
特に設立数が多い株式会社と合同会社の特徴について説明します。

株式会社とは

株式会社は、株式を発行して資金を集めて作られる「会社」の代表的な形態です。

会社経営の源泉となる「資本」の所有者と、会社の経営を行う人が分離しており、資本金を提供した人が「株主」となります。また、経営を行う経営者は株主による集会である「株主総会」での選出により決定します。

このように出資者と経営者が異なるケースを「所有と経営の分離」といい、株式会社の特徴のひとつです。

合同会社とは

合同会社とは、2006年5月1日施行の会社法により新しく設けられた新しい会社形態でアメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルとして導入されました。

出資者と経営者が異なるケースが多い株式会社に対して、合同会社は「出資者=会社の経営者」であり、出資したすべての社員に会社の決定権があります。

役員報酬や資本金の金額設定

役員報酬の金額は、3か月以内に税務署へ申請する必要があります。申請後、事業年度途中は変更できませんが、会社設立時もしくは事業年度開始から3ヶ月以内であれば一度だけ変更することが可能です。

理由として、役員報酬が自由に変更できると、経費と納税額を作為的にコントロールできてしまうためです。

なお、役員の職位変更や経営状態の悪化、役員の不祥事があった場合は例外として役員報酬の変更は可能です。
加えて、資本金の金額も会社の設立時に決めます。
資本金をみると、会社にいくらの現金があるのかがわかるため、会社の信用力に影響します。
また、資本金は返済義務のない現金が対象です。
会社法の改正により、資本金の額は1円からでも設定可能ですが、少なすぎても「手元のお金で支払いできない」とみなされ取引先から信用を得られません。しかし1,000万円以上を超えると消費税の支払が義務になり、消費税を支払う必要があります。
事業の継続に差支えのない範囲で資本金は設定しましょう。

②印鑑の作成

会社名が決まったら印鑑を作成します。
印鑑の作成はこちら

③役所への届け出

会社の設立には、以下の役所へ法人設立届出書を提出する必要があります。その他にも、提出する書類があるため、セットで提出しましょう。

税務署

  • 法人設立届出書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 青色申告の承認申請書
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

税事務所

  • 法人設立届出書
  • 定款・登記事項証明書のコピー

役場

  • 法人設立届出書
  • 定款・登記事項証明書のコピー

税事務所と役場は、それぞれの地域によって提出の有無や期限が異なるため、事前に確認して提出の必要がある場合は余裕を持って準備しましょう。詳しくは「⑪事業開始前に必要な手続きで後述します。

④ 銀行口座の開設

銀行口座の開設はこちら

⑤ 資本金の準備

資本金とは、株主が株式会社に払い込んだお金のことです。会社法第445条第1項によると、「株式会社の資本金の額は、設立、または株式の発行に際して株主となる者が、当該株式会社に対して払い込み、または給付をした財産の額」とされており、会社財産を保護することを目的としています。

会社を設立する際に、株式数と資本金を決めた上で会社名義の法人口座に払い込む必要があります。基本的に新規企業の場合、投資家からすぐに資金調達をするのは難しいため、発起人や関係者が自身のお金を資本金として払い込みます。

⑥ 定款の作成

定款のページはこちら

⑦ 定款の認証

定款のページはこちら

⑧ 資本金の払込み

資本金の払込みの手順は以下の通りです。
1. 自分(個人)の口座に自分名義で振込む
2. 振り込んだ通帳の表紙・1ページ目・振込をしたページをコピーする
3. 払込証明書を作成して②のコピーと一緒に綴り、継ぎ目に会社代表印を押印する
4. 会社設立後、1で振り込んだ資本金を法人口座に移行する

⑨法務局で登記申請

 作成すべき登記申請書類は以下の通りです。

  • 登記申請書
  • 登記事項などを記載した別紙
  • 発起人の決定書
  • 印鑑届書
  • 印鑑証明書
  • 就任承諾書
  • 選定書
  • 定款
  • 設立時代表取締役の就任承諾書
  • 本人確認証明書
  • 資本金の額の計上に関する証明書
  • 出資の払込証明書

書類は全てA4サイズで作成します。

作成できたら、印鑑証明書以外の上記の書類をまとめて左側を留めて製本します

⑩ 登記申請後に法務局で確認、手続き

登記申請書類を揃えて製本できたら、法務局へ会社設立登記を申請します。登記申請は資本金の振込をしてから2週間以内に、代表取締役が行ってください。
登記申請は、会社の住所を管轄している法務局に書類を提出するだけで完了します。
もし設立の準備で法務局に行けない場合は、封筒の表に「登記申請書類在中」と記載の上、管轄の法務局へ郵送しましょう。

また、登記申請には収入印紙が必要です。収入印紙は郵便局でも購入できますが、法務局内の販売所でも購入できます。

⑪ 事業開始前に必要な手続き

【法務局への手続き】
登記申請を終えて会社を設立したら法務局に行き、以下の3種類の証明書を取得します。

  • 印鑑カード交付申請書
  • 印鑑証明書交付申請書
  • 登記事項証明書交付申請書

上記の証明書は、後ほどご紹介する手続きに必要なため、会社を設立したらなるべく早く取得しに行きましょう。

税務署への届け出

税務署には以下の4つを提出します。以下の書類はそれぞれで提出期限が異なります。提出期限を過ぎないように余裕を持って提出しましょう。

① 給与支払事務所等の開設届出書(必須)     会社設立後1ヶ月以内
② 法人設立届出書(必須)            会社設立後2ヶ月以内
③ 青色申告の承認申請書(任意)         会社設立後3ヶ月以内
④ 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(任意)
適用を希望する月の前月末日以内

任意書類は必ず提出しなければならない書類ではありません。
ただし、提出することで節税効果も期待できるため、可能な限り提出することをおすすめします。

税務署への届け出

都道府県税事務所は、法人県民税や法人事業税などの地方税を扱う機関です。
都道府県税事務所には、定款・登記事項証明書のコピーを添付した法人設立届出書を提出します。
なお、提出期限は各都道府県で異なるため、最寄りの都道府県税事務所のWebサイトで事前に確認しておきましょう。

市町村役場への届け出

市町村役場にも都道府県税事務所と同様に、定款・登記事項証明書のコピーを添付した法人設立届出書を提出します。
また、各市町村によって提出義務の有無が異なるため、事前に確認しておきましょう。

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