税金

個人事業主として起業した場合にかかる税金

  1. 個人事業主として起業して収入があった場合、まずは所得税が発生します。所得税は、事業所得の金額に基づいて計算されます。

    事業所得とは事業で得た収入から必要経費を差し引きして計算します。この事業所得から各種所得控除を差し引きした課税所得に税率をかけて、所得税を計算します。各種所得控除とは、扶養控除や生命保険料控除のことで、扶養者が家族にいるか、生命保険に加入していかという個々の事情により異なります。また、税率は課税所得の金額により異なり、課税所得の金額が大きくなるほど税率は高くなり、課税所得の金額が小さくなるほど税率が低くなります。所得税は、毎年2月16日から3月15日までの確定申告の時期に納付します。

  2. また、所得税の計算のもととなる課税所得に基づき、個人住民税を納付します。この個人住民税は、前年の課税所得に対して課税されます。つまり、ある年に無収入でも、前年に所得がある限りは納付する必要があります。

    住民税は、市町村民税と都道府県民税から、構成されます。住民税は、市区町村から納付書が送付されてきて、6月末、8月末、10月末、翌年1月末の4回に分けて納付します。この住民税の支払いは、会社員の場合は、給与から天引きされるのが普通ですが、個人事業主の場合は、会社員と異なり給与をもらうわけではないので、自分で納付する形になります。

  3. さらに、個人事業主にかかる税金として、個人事業税が発生します。個人事業税は、収入金額から必要経費と事業主控除(290万円)等を差し引きした金額に、税率をかけて計算されます。税率は、事業の種類により異なりますが、3%から5%です。確定申告書を提出していれば、事業税申告書は提出不要であり、都道県税事務所から納税通知書が送付されてきます。個人事業税は、毎年8月31日と11月30日の2回に分けて納付します。
  4. そして、個人事業主として従業員を雇い、給料を支払っている場合、通常、給与を支払った月の翌月10日までに源泉所得税を納付します。この源泉所得税は源泉徴収税額表に基づき計算し、納付書に金額を記載して、毎月納付することになります。ただし、納付特例の適用を受けている場合、1月から6月分を7月10日までに、7月から12月分を翌年1月20日までにまとめて支払うこともできます。
  5. さらに、個人事業主の場合でも、条件により消費税を納付する必要性が出てきます。この消費税は、個人消費者としてのものではなく、事業者としてかかる消費税です。この消費税は、顧客から預かった消費税から、事業者が支払った消費税を差し引きして計算します。納付の時期は、1月1日から12月31日を課税期間として、翌年3月31日までとなります。

法人設立で起業した場合に発生する税金

  1. 法人設立で起業した場合に発生する税金が、個人事業主の場合と大きく異なるのは、所得税ではなく、法人税になることです。法人税は、所得税より税率が低くなる傾向があります。よって、起業当初から利益が見込める場合、個人事業主ではなく、法人を設立して、所得税ではなく、法人税のほうが、税金が安くなる場合があります。法人税の計算手順としては、まず会社の利益をもとにして申告調整を行い、法人税法上の所得金額を計算します。この作業は、法人税の申告書の別表四というもので行います。そして、法人税法上の所得金額に法人税率を乗じて法人税を計算します。この作業は、法人税の申告書の別表一というもので行います。
  2. また、法人税の他に、法人住民税と法人事業税がかかります。法人住民税と法人事業税は、法人税と合わせて、損益計算書に記載されます。
    法人住民税は、法人税の地方税で、会社の規模に関わらず課せられます。法人住民税は、法人税割と均等割から構成されます。法人税割は、法人税の額に住民税の税率を乗じて計算されます。住民税の税率は、東京都23区の場合で、法人税額が10百万円以下の場合は12.9%、10百万円以上の場合は16.3%です。その他、地方法人税が法人税額の4.4%課されます。均等割は、資本金の金額と従業員の数により異なりますが、最低でも7万円かかります。よって、赤字の法人で、法人税がかからない場合でも、法人住民税の負担が必要です。
  3. そして法人の場合でも、従業員に対する源泉所得税の納付が必要になります。計算方法と納付の時期は、個人事業主の場合と同様です。
  4. また、消費税は、基準期間がない事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人の場合に課税対象となり、納付の時期は、決算月から2ヶ月以内になります。